田原本町の青緑瓦屋根の袖瓦を補修、釉薬瓦は最も長寿命の屋根材です
田原本町の青緑瓦屋根の袖瓦の部分補修を行いました。
今までの記事の中でも何度か書いていますが、私は個人的には
瓦屋根が好きです。
ですから、最近の新築屋根にはあまり使われなくなったことをとても寂しく感じています。
ということで、今回は瓦について少し詳しく書いていきたいと思います。
瓦屋根をじっくり見たことのある方は少ないかもしれませんね。
・瓦屋根のてっぺんに並んでいる丸い瓦の列を棟瓦。
・屋根面全体に葺かれている瓦が平瓦もしくは桟瓦。
・軒先に葺かれている瓦が
軒先瓦。
・屋根の左右の端(ケラバ)に葺かれている瓦が袖瓦。
今回不具合が起きていた瓦は袖瓦です。
袖瓦は
ケラバを横の雨水から守るために、通常の瓦と違い片側が下に少し伸びた形になっています。
袖瓦の設置されているケラバは、屋根の一番端にあるので横からと下からの風や雨の影響を最も強く受ける箇所なので、袖瓦がズレることはよくあります。
屋根は建物の最も高い所にあるので屋根の不具合には気づきにくいものですが、
袖瓦は構造上、階下からでも見えやすく、歪んでいるとかズレているなど比較的気づきやすい部位だと言えます。
瓦のズレる原因はその施工方法にあります。
ひと昔前の瓦屋根、大正時代
までに建てられた住宅の瓦屋根はそのほとんどが
土葺き工法という施工方法でした。
土葺き工法とは、屋根下地
の上に粘着性の葺き土と呼ばれる土を敷き詰めて、その葺き土に瓦を押し付けて固定していました。
釘やビスなどを使用していないため、月日の経過によって葺き土の粘着力が低下すると、地震や強風などで瓦がズレてしまうのです。
1923年に関東大震災・1995年には阪神淡路大震災が
発生した際には
、土葺き工法で施工されていた多くの瓦屋根が崩れました。
この2つの大震災をきっかけに瓦屋根の施工方法が見直されて、今では新築の瓦屋根を土葺き工法で施工されることはあまりありません。
でも、瓦は屋根材の中でも最も耐久性に優れていて、特に釉薬瓦は耐用年数60年~
100年とは言われていますが、100年
以上経っても立派にその役割を果たしているものもたくさんあります。
新しく土葺き工法で施工されることは無くても、今もまだ土葺き工法で施工された瓦屋根はあるということです。
耐震性を重視すると瓦屋根が悪者扱いされがちですが、決して瓦屋根が悪いわけではなく、施工方法の進化によって十分耐震性の高い屋根を作ることも出来ます。
葺き土を使用しない引っ掛け桟工法で施工することで、葺き土の重量を削減し、瓦を釘留めすることでズレや歪みも少なくなります。
こちらの屋根で使用されている青緑瓦は和瓦です。
和瓦は素材の粘土を瓦の形に成型して焼き上げたものですが、その工程の違いによって3種類あります。
・いぶし瓦
焼いた瓦を燻すことによって薄い灰色(銀色)の瓦になる
耐用年数は40年~50年程度
・釉薬瓦
瓦を焼く前に釉薬をかけて色を出すため、陶器瓦と呼ばれる
表面がコーティングされたようにツルツルしていて変色もほとんどない
様々な色合を出すことが出来る
・素焼き瓦
その名の通り、瓦の形に成型した粘土をそのまま焼き上げた瓦
手を加えていないので、土の色合が特徴
青緑瓦は約50年程前に人気のあった釉薬
瓦です。
釉薬瓦は
瓦を焼く窯の温度分布によって色に自然なムラになり、よく見ると1枚1枚が微妙に違う色合になっているのです。
その鮮やかな色合は洋風住宅にもマッチしたため、洋瓦にも採用されました。
現在も和瓦の青緑瓦は生産されており、割れても新しい瓦を補充して部分補修することが可能なので、まだまだ現役の青緑瓦屋根はたくさんあります。
今はどの部分の瓦を差し替えたかわかるほどに既存瓦との色の差がありますが、月日が経過するとどんどん馴染んできます。
屋根が元通りになり、不具合も解消したので、これからも安心して過ごしてほしいなと思います。
最近では
瓦屋根の新築住宅が減り、屋根業者の中でも瓦は扱わないお店も増えてきました。
瓦屋根の不具合や点検は街の屋根やさん奈良店(0120-303-884)にご相談くださいね。
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