『不陸調整』で屋根の完成度が左右されるって知ってますか?
『不陸調整』って言葉を知っていますか?
屋根工事をしたことのある方は聞いたことがあるかもしれませんが、普段はほとんどなじみのない言葉ですよね。 この作業、実は屋根の完成度を左右するほど重要な工程なんですよ。
瓦屋根の屋根工事をお考えの方は、是非読んでみてくださいね。
もしもあなたが屋根のリフォームを考えた時、一番気になるのは何ですか?
地震や
台風などの自然災害に強い屋根にしたいとか、やっぱり見栄えがよくなくちゃとか。
重点を置くポイントは人それぞれです。
でも、屋根工事に携わるものとしては、見えない部分も気にしてほしいなと思うのです。
その一つが『不陸調整』!
知っていると屋根工事をする時に、ちょっと得するかもしれませんよ。
屋根材には色んな種類がありますが、特に和瓦は約3㎏/枚ととても重い屋根材です。
その重量は、スレート屋根の3倍、金属屋根の10倍にもなります。
そして、和瓦を剥がすとこのように大量に土が出てくることがあります。
屋根に土を敷いてその上に瓦を押し付け、土の粘着力で瓦を固定する工法を土葺き工法と言います。
瓦の重さと土の重さ。
瓦屋根はとても重いというのはお分かりいただけると思います。
瓦や土を撤去すると、ほとんどの場合、
バラ板で出来た
野地板が現れます。
バラ板とは土葺きの屋根の下地を構成する野地板の一種で、杉板で出来ています。
このバラ板には、長期に渡って瓦と土の重さを支え続けたことで表面に凸凹が出来てしまいます。
バラ板の表面に凸凹がある状態で、新しい野地板や防水紙、新しい屋根材などを設置してしまうと隙間が出来たりして不安定になり、平らな屋根を作ることが出来ません。
そこで、平らな屋根づくりのために欠かせない作業が『不陸調整』です。
不陸とは平らでない、凸凹という意味です。
凸凹なものを平らにするために高さを調整するので『不陸調整』。
高さを上げるということで『かさ上げ』とも言います。
そんな面倒なことせずに新しい野地板に貼り替えればいいのに・・・と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
屋根の葺き替え工事では、野地板や
垂木に余程の酷い腐食や破損がある場合を除いて、古い野地板を撤去せずにその上から新しい野地板を張る「
増し張り」をします。
「増し張り」することで野地板が2重になり屋根下地が強くなることと、古い野地板を撤去しないので廃棄物処理費用が削減されるという2つのメリットがあります。
写真のように、屋根の下地の上に補強垂木と呼ばれる木材を土台の垂木に合わせて設置していきます。
補強垂木の設置位置を垂木に合わせることで、しっかりと固定されるのです。
補強垂木の下には、木片を入れて高さを調整します。
大きく窪んでいる部分には、木片を何枚も差し入れて微調整をして行きます。
こうして『不陸調整』を施した屋根下地に新しい野地板、防水紙、屋根材を貼っていくと、真っすぐで平らな見事な屋根が出来上がります。
ただし、瓦屋根では多かれ少なかれ古い野地板の歪みや凹みは避けられないので、当店で行うほとんどの葺き替え工事で『不陸調整』を行います。
必ず屋根のレベルを確認し、屋根の歪みや沈み具合によって調整する方法を考えてやっていきます。
今回のコラムでは『不陸調整』を取り上げましたが、屋根工事を依頼する際、業者さんからたくさんの専門用語が飛び出して、意味が分からないという経験をした方は少なからずおられると思います。
屋根の工事は、決して安い金額ではないため、屋根が完成してからこんなはずじゃなかったと後悔しても、もう後戻りはできません。
見積書の項目にも専門用語が書かれているかもしれません。
そんな時はぜひ確認してくださいね。
「不陸調整はしていただけるんでしょうか」なんて言ったら、「屋根の知識がある」という印象を与えて業者さんの態度が変わったり、殊更丁寧に作業してくれるなんてこともあるかもしれないので、知っておくと得をするとはこういうことです。
この記事で『不陸調整』が気になったら、こちらのブログも読んでみてくださいね。
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