平群町で築40年瓦屋根の熨斗瓦一部交換と棟瓦を剥がし再固定
2022.08.10
平群町で築40年の瓦屋根棟瓦は固定力が低下しているため剥がれやすくなっています。棟瓦は歪みを帯びてしまうと隙間を作り雨漏りの原因となってしまうので、メンテナンスのため固定し直していきます。また、熨斗瓦が一部破損しているので交換していきます。前回はケラバ瓦や平瓦の破損部分を修理しま…
御所市で屋根の棟からの雨漏りで棟瓦の補修工事と漆喰の詰め直し工事
屋根に上ってすぐに目についたのは、屋根の頂上に位置する大棟の激しく崩れた棟瓦でした。
のし瓦が崩れて、屋根の上には葺き土が流れ出ていました。
今にも崩れ落ちそうな棟瓦が辛うじて持ちこたえているような状態です。
葺き土を使用する土葺き工法で施工されている瓦屋根は、葺き土の粘着力のみで瓦を固定しています。
年月の経過とともに葺き土が劣化し、粘着力が弱まってくると瓦がズレたり崩れたりする可能性が高まります。
屋根に降り注いだ雨水が屋根下地に侵入しても、葺き土が雨水を吸収することで雨漏りを防いでいる部分も大いにあるため、葺き土の減少は最終的に雨漏りに繋がるということは理解して頂けるでしょう。
漆喰には風雨から葺き土を守る役割があるため、漆喰の劣化は葺き土の流出を生じさせる一因です。
漆喰に関しては、ほぼ全ての棟で劣化していましたので、この機会に修復しましょう。
のし瓦がズレて飛び出しています。
長年メンテナンスらしいことをしてこなかったとおっしゃっていましたので、いつからこの状態になっているのか分かりませんが、平部に大きな不具合がほとんどなかったことは幸いです。
経済的なことを考慮して、工事内容は大きなズレや崩れのある棟瓦の部分積み直しと、全ての漆喰の詰め直しに決まりました。
解体した棟瓦には新しい葺き土を使用せず、南蛮漆喰を使用します。
南蛮漆喰は、従来の漆喰の主成分である消石灰に油脂や粘土・土などを混ぜたもので、葺き土の代わりとして使用できるため重宝されています。
漆喰に比べて耐久性や防水性に優れているため、最近では南蛮漆喰が屋根の漆喰としての主流となってきています。
古い漆喰が少しでも残っていると、新しい漆喰を詰め直しても葺き土に密着せず、寿命よりも短い期間で剥がれたり割れたりすることもあるからです。
古い漆喰を除去した後の葺き土の様子です。
しっかりと葺き土が詰まっていますね。
この状態であれば、雨漏りが生じる可能性はとても低いです。
ここに新しい漆喰を詰め直すことで、雨漏り防止対策としては十分効果があります。
熨斗瓦の下には、新しい南蛮漆喰を詰め直しました。
鬼瓦と棟瓦の取り合いにもしっかりを南蛮漆喰を塗って固定しました。
最後に棟全体を包むように銅線を結び、棟瓦を固定しました。
瓦屋根の補修ではいつも思いますが、瓦と漆喰のコントラストはとても素敵です。
濃い色の瓦だとメリハリがついて綺麗ですし、今回の屋根のように灰色のいぶし瓦だと落ち着いた雰囲気になります。
棟瓦の補修によって雨漏りも止まり、まだまだお家を守ってくれそうです。
雨漏りが止まった事でお客様は大変安心されていました。
特別な色合の瓦の場合は同じ色の瓦を調達するのは困難かもしれませんが、一般的な瓦の場合は、ほぼ同じ瓦に差し替えることが出来ます。
同じ瓦とはいえ、築年数によっては色に違いが出てしまいますが、私はそれも味わい深いと思います。
以上で、瓦屋根の補修工事の全工程が完成しました。
瓦屋根は重量が重いので地震に弱いなどとしてとかく悪者扱いされがちな昨今ですが、日本家屋らしい瓦屋根を大切に受け継いでいってほしいと個人的には思います。
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