2026.05.30
生駒市にある2階建て住宅にお住まいのお客様より、大切な釉薬瓦屋根のメンテナンスについてご相談をいただきました。釉薬瓦は表面がガラス質の膜で覆われているため、非常に耐久性が高く、一見するとまだまだ美しさを保っているように見えることが多い瓦です。しかし、どれだけ瓦自体が健全であっても…
奈良県橿原市にある、歴史ある美しい街並みの中での出来事です。ある日、お客様から「家の敷地を囲む古い塀の軒先に、誤って車をぶつけてしまった」というご相談をいただきました。
車が当たった衝撃により、塀の頭頂部を守っていた瓦が数枚割れてしまい、全体的に大きくズレてしまっている状態でした。このまま放置すると、雨水が塀の内部に浸入して土台を傷めたり、次の台風や地震で瓦が道路に落下して二次被害につながったりする恐れがあります。そこで、これ以上の被害を防ぐために、すぐに部分的な瓦の補修工事を行うことになりました。
現地に伺って詳しく調査をすると、この塀に使われている瓦は非常に歴史が古く、少なくとも60年以上は経過しているものと思われます。
今回の塀には、一部だけ縦方向に丸い瓦を交互に流す「本葺(ほんぶき)」という、昔ながらの社寺仏閣などによく見られる贅沢な葺き方が施されていました。確認したところ、この本葺き部分の「丸瓦(まるがわら:半筒状の瓦)」が衝撃でズレており、さらに一番端にある「軒瓦(のきがわら:屋根の先端に使う瓦)」が1枚、完全に欠損してしまっている状態でした。
これだけ古い瓦になると、現在流通しているものとは規格(大きさや形)が全く異なります。そのため、同じ大きさの瓦を新しく用意することは不可能です。そこで今回は、現在手に入る新しい瓦を、職人が現場で絶妙に加工してサイズを合わせる方法をとりました。
特に長さが合わない丸瓦は、新品のものを細かくカットして長さを調整します。また、この時代の瓦は「土葺(つちぶき)」といって、粘土の接着力を利用して瓦を固定する工法が使われています。今回はより強度を高めるため、木の下地から「銅線」をしっかりと引き出し、新しい瓦を巻き付けるように緊結(きんけつ:針金などで強固に結びつけること)して、二度とズレないよう固定しました。
通常、本葺き瓦の一番軒先には、水はけを良くしたり見栄えを整えたりするために、丸い紋様のついた「巴瓦(ともえがわら)」という特殊な瓦を使用します。
しかし、今回の現場は道路に面した塀です。ここに一般的な巴瓦を取り付けてしまうと、どうしても軒先が外側に大きく出っ張ってしまいます。そうなると、将来的にまた車が当たってしまう可能性が非常に高くなります。
そこで今回はお客様の今後の安心を第一に考え、あえて軒を出さない納め方にしました。巴瓦を使わず、空いた隙間を「漆喰(しっくい:消石灰を主原料とした伝統的な塗り壁材)」で丁寧に蓋をするように埋めることで、出っ張りのない安全な仕上がりに工夫しました。
軒先瓦が欠損していた部分は、衝撃によって瓦の下にあった土(葺き土)も一部崩れて落ちてしまっていました。まずはこのベースとなる部分を漆喰でしっかりと補強し、形を整えます。
その後、先ほどと同様に新しいいぶし瓦を現場のサイズに合わせてカットし、下地から引き出した銅線でがっちりと緊結しました。経年変化によって黒く馴染んだ古い瓦と、新品のいぶし瓦では、どうしても最初は色合いに違いが出てしまいますが、これで雨漏りや落下の心配がない、最も機能的でスピーディーな簡易補修工事が完了いたしました。
今回の工事は、一見すると「数枚の瓦を直すだけの簡単な工事」に見えるかもしれません。しかし、実は現代の四角い瓦と違い、昭和初期やそれ以前の古い本葺き瓦を触るには、素人や経験の浅い業者では絶対に不可能です。
瓦を削る職人の勘や、土葺きの構造を熟知した「かわらぶき」の熟練した伝統技術が必要不可欠になります。
私たち「街の屋根やさん奈良店」は、創業51年の瓦屋が運営する、地域密着の屋根・瓦専門店です。これまで数多くの古い町家や神社仏閣、伝統的な瓦屋根の施工実績を積み重ねてきました。社内には、確かな腕を持った一級かわらぶき技能士などの瓦職人が多数在籍しております。
「古い瓦だからもう直せないかも…」「車をぶつけて少しだけ割れてしまった」など、どんな小さな部分補修でも大歓迎です。大切な住まいや塀の瓦のトラブルは、ぜひ実績豊富な街の屋根やさん奈良店へお気軽にご相談ください!お客様の大切な資産を、確かな技術で守り抜きます。
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