2026.07.10
こんにちは。街の屋根やさん奈良店です。 奈良県大和高田市のお客様より、蔵の本葺瓦屋根が古くなってきており、葺き替えも視野に入れて状態を見てほしいとのご相談をいただき、私たちで現地調査に伺いました。到着してまず感じたのは、建物全体に落ち着いた趣があり、蔵らしい重厚感がしっかり残って…
屋根に上がらせていただくと、全体的にとても古い日本瓦が葺かれていました。過去にも何度かメンテナンスをされているようで、所々に新しい瓦へ差し替えられた跡が見受けられます。
しかし、長年の風雨に晒されてきた影響は大きく、全体的に劣化が進んでいる状態でした。特に目立ったのが「凍害(とうがい)」による被害です。凍害とは、瓦の内部に染み込んだ水分が冬場の寒さで凍結と融解を繰り返し、瓦の表面がパリパリと剥がれたり割れたりしてしまう現象のことです。今回の点検でも、表面が剥離して傷んでいる瓦が多数確認できました。
雨漏りが発生している室内上の屋根を確認したところ、決定的な原因を発見しました。雨漏り箇所の直上にある瓦が大きくズレており、「縁切れ(えんぎれ)」という状態を引き起こしていたのです。
縁切れとは、本来であれば重なり合って雨水の侵入を防いでいる瓦同士の間隔が開き、隙間ができてしまう現象を指します。今回の現場では、瓦の下にある野地(のじ:屋根の土台となる木材部分)に直接雨水が落ちてしまうほど、激しくズレが広がっていました。さらに、その周辺の瓦も連動するように全体的なズレを起こしており、非常に危険な状態です。
被害は平らな面の瓦だけではありませんでした。屋根の頂上や傾斜部分にある「棟(むね)」と呼ばれるセクションにも深刻なダメージが見られます。
隅棟(すみむね:屋根の隅に向かって下がっている棟)の1箇所では、棟自体が今にも崩れかけていました。その下にある棟下瓦が大きくズレてしまったことで、中の野地が完全に露出してしまっています。ここからの雨水侵入も避けられないため、この部分は棟を一度解体して積み直す作業が必要です。
また、屋根の端にあたる降り棟(ふりむね)の熨斗瓦(のしがわら:箱状に積む平らな瓦)もズレ落ちていました。さらに破風(はふ)の上の掛瓦にある刀根丸(とねまる)部分では、固定していた面戸漆喰(めんどしっくい)が綺麗に剥がれ落ち、内部の土が丸見えの状態になっていました。漆喰が剥がれると中の土が雨で流出し、最終的に棟全体の崩壊につながってしまいます。
本棟(ほんむね:屋根の1番高い場所にある主棟)の端に鎮座する立派な鬼瓦(おにがわら)も確認しました。そこには「昭和33年製」という刻印があり、約70年もの間、お寺を守り続けてきた歴史が刻まれていました。
しかし、この大きな鬼瓦の表面には、くっきりと大きな亀裂(ひび割れ)が入っていました。重量のある大きな瓦ですので、もし激しい地震や台風が来た場合、いつ割れて地上へ落下してもおかしくない大変危険な状況です。参拝者様や周りの安全を考えても、放置できない状態と言えます。
今回の点検では、ひとまず雨漏りを止めるための緊急処置として、大きくズレていた瓦の位置を戻す応急対応を行いました。これにより一時的な雨漏りは防ぐことができます。
しかし、前述の通り屋根全体が築70年近く経過しており、経年劣化が著しく進んでいます。この状態では、たとえ1箇所を部分補修したとしても、すぐに別の場所が悪くなり、補修作業を何度も繰り返し続ける「いたちごっこ」になってしまいます。費用や維持管理の手間を考えても、部分補修を続けるのは得策ではありません。
そこで今回は、和尚様だけでなく檀家総代様にも同席していただき、写真をご覧いただきながら屋根全体の現状を丁寧にご説明いたしました。そして、お寺の建物をこの先何十年も安全に守っていくための最善策として、屋根全体の「葺き替え工事(古い瓦と下地を全て撤去し、新しい屋根材に替える工事)」をご提案させていただきました。
街の屋根やさん奈良店では、一般のご住宅はもちろん、お寺や神社などの伝統的な建築物の屋根点検・施工実績も豊富にございます。少しでも屋根に不安を感じた際は、手遅れになる前にぜひお気軽にご相談ください。現地調査と点検はお見積もりまで無料で行っております。
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