2026.05.08
街の屋根やさん奈良店です。前回は、王寺町の2階建て住宅にて、長年お住まいを守ってきた和瓦を解体する様子をお伝えしました。瓦を取り除くと、そこには想像以上の「屋根土」が敷き詰められていました。実は、この土の状態こそが今回の雨漏りの大きな鍵を握っていたのです。今回は、その大量の土を撤…
街の屋根やさん奈良店の近隣にお住まいのお客様より、屋根点検のご依頼をいただきました。今回お伺いしたのは奈良市内の閑静な住宅街にある、〇林住宅で建てられたお住まいです。
屋根の形状を確認すると、一般的な三角屋根(切妻屋根)や四方に傾斜がある屋根(寄棟屋根)とは少し異なる、非常に特徴的なシルエットをしていました。それが「マンサード屋根」と呼ばれる形状です。
まずは、このマンサード屋根とはどのようなものなのか、そして今回使用されていた瓦の状態について詳しくご報告いたします。
マンサード屋根とは、一言でいうと「二段構えの傾斜を持つ屋根」のことです。屋根の頂上から一度ゆるやかな勾配で下り、途中でカクッと折れ曲がって、そこから地面に向かって急な勾配になる形状を指します。別名で「腰折れ屋根」とも呼ばれます。
この形状の最大のメリットは、屋根裏のスペースを広く確保できることです。急勾配の部分が壁に近い役割を果たすため、屋根裏部屋を有効活用したい住宅によく採用されてきました。
しかし、構造が複雑になる分、屋根の「折れ曲がっている部分」には負荷がかかりやすく、メンテナンスにおいては専門的な知識が必要となる形状でもあります。
今回の屋根に使用されていたのは、セメント瓦の「2山形状」と呼ばれるタイプでした。セメント瓦とは、文字通りセメントと砂を原料にして作られた瓦のことです。
点検において、まずは瓦のメーカーを特定しようと試みましたが、残念ながら断定には至りませんでした。というのも、セメント瓦はかつて非常に多くのメーカーが多様な種類を製造しており、そのほとんどが現在は製造を終了(廃盤)しているからです。
瓦の状態としては、表面の塗膜(塗装の膜)に色あせが見られました。幸いにも、セメントの基材がむき出しになるほど重度の劣化ではありませんでしたが、防水性能が徐々に低下してきているサインといえます。
屋根の細部を確認していくと、いくつかの懸念点が見つかりました。まず、この瓦は強風で飛ばされないよう、瓦の山になっている高い部分から「笠釘(かさくぎ)」という釘で固定されています。
笠釘とは、釘の頭に傘のような蓋がついているもので、雨水の浸入を防ぐ役割を持っています。しかし、長年の風雨にさらされたことで、釘と瓦の間にある止水用のゴム(パッキン)がボロボロに劣化していました。
さらに、釘自体もサビてしまっています。パッキンが機能せず、釘がサビているということは、そこから雨水が瓦の下へと伝わりやすくなっている状態です。
さらに調査を進めると、瓦が割れている箇所をいくつか発見しました。この割れの原因は、外部からの衝撃ではなく、内側から発生していました。
古いタイプの瓦の固定には鉄釘が使われていることが多いのですが、この鉄釘が雨水によってサビると、酸化して大きく膨らんでしまいます。これを「爆裂」や「サビによる膨張」と呼びます。
狭い釘穴の中で釘が太くなってしまうため、その圧力に耐えきれなくなった瓦がパカッと割れてしまうのです。これは古いセメント瓦の住宅ではよく見られる、非常に厄介な経年劣化の一つです。
今回の点検で最も深刻だったのが、マンサード屋根特有の「勾配が変わる部分(腰折れ部)」に使用されている専用の瓦です。
この部分は、急勾配と緩勾配のつなぎ目にフィットするように作られた特殊な瓦が使われています。一枚の成形品ではなく、おそらく二つのセメント瓦を製造過程で接合して作られたものと思われますが、経年劣化によってその接合部が完全に分離してしまっていました。
大きな亀裂というよりも、もはや「離れてしまっている」という状態で、これでは雨が降るたびにすべての水が瓦の下に流れ込んでしまいます。現状では、ルーフィング(瓦の下に敷いてある防水シート)だけでなんとか雨漏りを防いでいる危うい状態です。
さて、今後の対策についてですが、前述の通りこの瓦はすでに廃盤となっており、同じ形の新しい瓦(代替瓦)を手に入れることはほぼ不可能です。
そのため、部分的な補修を行う場合は、板金を加工してカバーしたり、コーキング(隙間を埋める充填材)を駆使して水の道を塞ぐといった応急処置になります。しかし、これらはあくまで一時的な「しのぎ」に過ぎません。
屋根全体の瓦が寿命を迎えており、釘のサビやジョイントの剥離が各所で起きていることを考えると、これから先、何度も部分補修を繰り返すのはコストパフォーマンスが良くありません。
大切なお住まいを末永く守るためには、屋根材をすべて新しいものに取り替える「葺き替え工事」を検討されるべき時期にきていると判断いたしました。
屋根は普段なかなか目にすることができない場所だからこそ、今回のように点検を行ってみて初めて気づく深刻な劣化がたくさんあります。特に廃盤になった瓦をお使いの場合は、壊れてからでは手遅れになるケースも少なくありません。
私たちは、単に「古いから交換しましょう」と言うのではなく、なぜ今の状態が危険なのか、どのような選択肢があるのかを、お客様の立場になって丁寧にご説明することを心がけています。
奈良市近郊で、お住まいの屋根に少しでも不安を感じていらっしゃる方は、ぜひ一度、街の屋根やさん奈良店までお気軽にご相談ください。屋根のプロとして、最適な解決策をご提案させていただきます。
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