2026.06.08
大和郡山市にお住まいのお客様より「近所で工事をしているという業者から、屋根の漆喰が剥がれて落ちていると指摘された。本当に直す必要があるのか一度見てほしい」とのご相談をいただきました。 現地に伺い屋根に登らせていただくと、確かに経年劣化によって黒ずんだ漆喰がポロポロと崩れている状態…
屋根にのぼって確認すると、前回の業者が行った工事に重大な原因があることが分かりました。それは、古い漆喰を剥がさずに上から新しい漆喰を重ねて塗る「重ね塗り」です。
本来、漆喰の塗り替えは古いものを綺麗に剥ぎ取ってから塗るのが鉄則です。しかし前の業者はその手間を省き、既存の面戸漆喰(めんどしっくい:瓦の隙間を埋める白い漆喰)の上から薄く塗るだけで済ませていたのです。
薄く塗られた漆喰は粘着力が弱く、月日が経つとペリペリと簡単に剥がれてしまいます。実際に剥がれている部分を見ると、剥がれた跡の下にまだ古い漆喰が残っているのが確認できました。これが重ね塗りの明確な証拠です。
漆喰の重ね塗りが本当に恐ろしいのは、見た目が悪くなることだけではありません。実はお家全体の寿命を縮める「雨漏り」に直結するからです。
古い漆喰の上にさらに塗り重ねると、どうしても全体の厚みが増してしまいます。すると、漆喰が「ノシ瓦(屋根の上のほうに平らに積まれている箱型の瓦)」のラインよりも外側へとはみ出してしまいます。
瓦より外側に漆喰が出っ張ると、雨が降ったときにその部分が雨水を受け止めてしまうのです。本来ならスムーズに下へと流れ落ちるはずの水が、はみ出た漆喰のせいで屋根の内部へと誘い込まれ、深刻な雨漏りを引き起こす原因になります。
今回は面戸漆喰だけでなく、屋根の端にある「鬼瓦(おにがわら)」の周りの漆喰も同様に劣化が進んでいました。
鬼瓦の周辺は雨風のダメージを特に受けやすい場所です。この部分の漆喰が傷むと、鬼瓦を固定している土台が緩み、瓦のズレや落下の危険性も出てきます。そのため、面戸漆喰と同時にこの鬼瓦廻りもすべて新しく塗り替えることになりました。
街の屋根やさん奈良店では、後からトラブルが起きるような手抜き工事は一切いたしません。まずは、過去の重ね塗りによって傷んだ面戸漆喰を、職人の手で一つひとつ丁寧にすべて剥ぎ取っていきます。
古い漆喰をしっかり剥がすと、その下にある「葺土(ふきつち:瓦を固定し、クッションの役割を果たす屋根専用の土)」が完全に露出します。このすっぴんの状態に戻す工程こそが、長持ちする屋根を作るために最も重要なプロセスです。
古い漆喰を取り除いた後は、すぐに新しい漆喰を塗るわけではありません。露出した古い葺土の上から、新しい土を薄く均一に塗る「下地調整」を行います。
これは、凸凹になってしまった土台の表面を平らに「均す(ならす)」ための作業です。土台が綺麗に整うことで、これから塗る新しい漆喰がしっかりと密着し、時間が経っても剥がれない強固な仕上がりになります。
続いて、雨漏りを防ぐための重要な補強工事を行います。谷部分などの「棟の取り合い(瓦と瓦が交差する複雑な部分)」や、鬼瓦廻り、そして「三又(みつまた:3方向からの棟が合流する部分)」などは、瓦と瓦の間にどうしても開き(隙間)ができやすい場所です。
この隙間に、防水性と伸縮性に優れた「コーキング」をしっかりと補充します。こうして隙間を物理的に塞ぐことで、雨水の侵入をシャットアウトし、屋根全体の防水性を飛躍的に高めることができます。
補充したコーキングが完全に乾燥したのを確認してから、いよいよその上から新しい面戸漆喰を丁寧に巻くように塗っていきます。
実は、漆喰そのものに強力な防水効果があるわけではありません。漆喰の本当の役割は、「美観を整えること」と「棟瓦の中にある土(葺土)を雨風から保護すること」です。もし漆喰がなければ中の土が雨で流れ出てしまい、棟が崩れる原因になります。
だからこそ、定期的な漆喰のメンテナンスが必要です。正しい手順で手入れをしてあげれば、日本の伝統である和瓦は「飛躍的に長く持つ」という素晴らしい耐久性を発揮してくれます。
屋根の上はお客様自身の目で確認することが難しいため、残念ながら見栄えだけを良くする重ね塗りを行う業者も存在します。漆喰の黒ずみや剥がれは、屋根が発している大切な「危険信号」です。そのまま放置すると大がかりな雨漏り修理に発展し、高額な費用がかかってしまうこともあります。
「うちの屋根は大丈夫かしら?」「前回の工事が正しかったか不安」と思われた方は、
ぜひ一度、街の屋根やさん奈良店までお気軽にご相談ください。屋根の専門家が親身になって点検し、我が家のように誠実に対応させていただきます。
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