2026.07.03
前回の現地調査でご紹介した、奈良県王寺町の医院様のカラーベスト屋根の続報です。先日の台風による激しい強風で軒先の屋根材が割れて飛散してしまい、大変危険な状態でした。そこで当店のサポートのもと、自然災害による建物の損害として火災保険の「風災」の申請を行ったところ、無事に受理されて保…
今回調査にお伺いしたお宅は、立派な蔵と母屋が隣接して建てられている構造です。このように異なる建物同士がくっついている接合部分のことを、建築用語で取り合いと呼びます。
取り合い部分は、母屋の屋根から流れてきた大量の雨水が直接蔵の壁に当たってしまうため、非常に雨漏りが起きやすい構造的な弱点と言えます。こちらのお宅では、その対策として母屋からの雨水をスムーズに逃がすためのろく谷と呼ばれる平らな溝状の通り道が作られ、蔵の側面へと雨水を流す納まり(部材の組み合わせ方)になっていました。
このろく谷や、蔵の屋根に取り付けられている雨樋には銅板が使用されていました。
銅板は加工がしやすく耐久性も高いため、昔から和風建築の屋根の谷や壁際といった重要箇所によく使われてきた優れた建材です。しかし、どれほど優秀な建材であっても永遠ではありません。およそ30年程度が経過すると、酸性雨などの環境的な影響を繰り返し受けることで、徐々に薄くなり最終的には穴が開いてしまうという特徴があります。
今回のろく谷も、過去に何度か穴が開いた形跡があり、その都度補修を繰り返しながら大切に使われてきた形跡が残っていました。また、直接今回の雨漏りとは関係ありませんでしたが、蔵の屋根にある銅製の雨樋にも一部穴が開いている箇所が見つかりました。
原因を確実に特定するため、脚立を使って天井裏へと入り、内部の点検を行いました。
屋根の瓦の下には、バラ板野地と呼ばれる、瓦を支えるために敷き詰められた隙間の木板があります。この天井裏の暗闇の中でライトを照らしながら確認を進めると、まさに母屋の屋根と蔵の屋根が交わる接合部分のバラ板野地の隙間に、くっきりと雨水が伝った跡(雨染み)を発見しました。
これで、雨水がこの接合部のろく谷周辺から侵入していることは間違いありません。外側の経年劣化と内側の雨染みが完全に一致した瞬間でした。
さらに調査を進めると、もう一つ重大な見落としがちなポイントが見つかりました。雨水を流す先となっている蔵の側面部分です。
この壁面には、木材の表面をあぶって耐久性を高めた伝統的な外壁材である焼き板が貼られています。しかし、長い年月を経てこの焼き板が空気中の湿気や直射日光によって反ってしまっていました。
板が反ると当然そこに隙間が生まれます。隙間から中を覗くと、本来は見えてはいけない建物の内側にある土壁や、雨水の侵入を防ぐためにあらかじめ仕込まれている捨て谷板金という金属板のてっぺん(天端)が露出してしまっていました。これでは、風を伴って横から激しく吹き付けるような雨(吹き降りの雨)が降った際、この焼き板の隙間から水が容赦なく侵入してしまいます。今回の雨漏りを完全に止めるためには、屋根だけでなくこの焼き板の張り替え工事も不可欠であると判断いたしました。
今回の調査結果から、雨漏りを根本から解決するためには、経年劣化で寿命を迎えた銅板製のろく谷の改修と、変形して隙間ができてしまった蔵の焼き板外壁の張り替えという、屋根と壁の両面からのアプローチが必要であることをお客様に丁寧にご説明させていただきました。
蔵と母屋の取り合いのような複雑な構造の雨漏りは、一部分だけを直しても別の隙間から水が回ってしまうことがよくあります。だからこそ、表面的な部分だけでなく、天井裏にまでしっかりと潜り込んで原因のルートを完全に突き止めることが何よりも大切です。
「もしかしたら我が家も?」と少しでも不安に思われたり、原因不明の雨漏りでお困りの際は、どうぞお気軽に街の屋根やさん奈良店までご相談ください。知識と経験が豊富なプロの目で、あなたの大切なお住まいを細部までしっかりと点検いたします。
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