2026.07.11
以前ご紹介した、奈良県王寺町の医院様の台風被害屋根修繕工事がいよいよ始まりました。現地調査で確認していた通り、カラーベスト屋根材の割れや飛散、樋の詰まりなど複数の不具合が生じており、早急な対応が必要な状態でした。今回の工事では、足場を組んでの本格的な作業となり、予想以上に手間のか…
「金属製の銅線がなぜ切れてしまうのか」と疑問に思われるかもしれません。実は、一昔前の屋根工事では、コーティングされていないむき出しの普通の銅線が使用されるのが一般的でした。銅は水分や空気に触れ続けると、長い年月をかけて少しずつ「酸化(サビること)」していきます。酸化が進んだ銅線は徐々に強度が低下し、最終的には鬼瓦の重みに耐え切れなくなってプツリと切れてしまうのです。これが、今回の落下の直接的な原因でした。
最近の現代的な屋根工事では、技術が進歩しています。ただの銅線ではなく、表面に電気を通さない絶縁性の膜をコーティングした「ホルマル被膜銅線(ホルマルどうせん)」という、非常に酸化しにくい特殊なワイヤーを使用するため、耐久性は飛躍的に向上しています。
しかし、歴史のあるお寺や古い民家の場合、昔ながらの普通の銅線で固定されているケースが大半です。見た目には問題がなさそうに見えても、見えない屋根の内部で劣化が進んでいることがあるため、大きな事故を防ぐには定期的なプロによる点検が絶対に欠かせません。
今回落下してしまった鬼瓦は、「経の巻(きょうのまき)」と呼ばれる種類のものでした。これは鬼の顔をしておらず、瓦の頭の部分に3本の巻物(経典)が乗ったような独特の美しい形をしています。お寺の本堂や格式高い建物によく使用される、非常に伝統的なデザインの瓦です。
こうしたお寺の鬼瓦は、一般の住宅用瓦のように大量生産されているものではありません。すべて「受注生産」となり、どこかの倉庫に在庫があるという製品ではないのです。
そのため、まずは現在残っている設置場所の寸法をミリ単位で正確に計測し、専門の鬼瓦製造会社(鬼師と呼ばれる職人さん)へ特注の制作依頼をかけるところから始まります。注文を受けた鬼瓦は、職人が粘土から一つひとつ丁寧に手作りで形を成形し、じっくりと時間をかけて乾燥させ、最後に窯で焼き上げるといういくつもの工程を踏みます。そのため、完成して現場に届くまでには最短でも1か月ほどの納期が必要となります。新しい鬼瓦が焼き上がるまでの間は、雨水が屋根内部に侵入しないよう、仮防水などの適切な処置を施して待つことになります。
本堂の点検に合わせて境内の周囲を確認したところ、もう一箇所、修理が必要な部分が見つかりました。お寺を囲む塀のコーナー(曲がり角)部分に取り付けられている「隅巴瓦(すみともえがわら)」が大きく割れてしまっていたのです。
隅巴瓦とは、塀や屋根の角部分で、瓦の接合部を隠して雨水の侵入を防ぐために使われる、L字型や半球状のような丸みを持った特殊な形状の瓦です。
この塀のコーナーという場所は、お寺の敷地に出入りする車や、近隣を通行するトラックなどが死角になってしまい、うっかり車体を引っかけて割ってしまうトラブルが非常に多いスポットでもあります。割れたまま放置すると、そこから雨水が塀の内部に染み込んでいき、塀そのものを支える芯材や土台を腐らせてしまう原因になります。そのため、こちらも鬼瓦の交換と合わせて、新しいものへと差し替える交換工事をご提案いたしました。
お寺や神社などの伝統建築に使われている瓦の固定方法(瓦仕舞)や、使用されている瓦の形状は、一般的な住宅のものとは全く異なります。独特の反りを持った屋根のラインや、何重にも重なる複雑な構造を正しく理解し、適切な施工を行うには、社寺建築に関する深い知識と高度な職人技が必要不可欠です。残念ながら、経験の浅いリフォーム店や一般的な雨漏り業者では、対応すら難しいのが現実です。
私たち「街の屋根やさん奈良店」は、創業51年を迎える歴史ある瓦屋が直営する、屋根の完全専門店です。これまで奈良県内の数多くの住宅はもちろん、歴史ある社寺仏閣の屋根工事や大規模な修繕も多数手がけてまいりました。
「うちのお寺の屋根は大丈夫だろうか」「高い場所にある瓦がズレていないか心配だ」など、少しでも気になることがございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。社寺建築を知り尽くした熟練の職人が、細部まで徹底的に点検・調査を行い、大切なお建物を守るための最適なご提案をいたします。まずは無料の点検・お見積もりから、お気軽にお問い合わせください。
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